本当に科学技術の失敗から学べているのか。もしうまくいっていない部分があるとしたらそれはなぜなのか。そういう問題点を乗り越える方法はないのか。
科学技術の社会学を専門とする筆者は、工学と社会科学の間を往来しながら、工科系の大学の授業で、そうした問いに取り組んできました。
本書はその経験を踏まえて、現実に起きた事件を通して、これらの問いについてできるだけ平易に、しかし同時に深く考え、答えを試みようとするものです。
このような方におすすめ
・現場を少しでも良くしようと努力しているエンジニア
・広く生産活動に携わっている人(社会基盤システムを取り扱う人も含む)
・MOT,企業経営に携わっている人
主要目次
はじめに
第1章 タコマ橋とコメット「失敗から学ぶ」サクセスストーリー
第2章 機体が言うことを聞かない!何が最新鋭機を墜落させたのか(1)
第3章 高度がおかしいぞ!何が最新鋭機を墜落させたのか(2)
第4章 「チャイナ・シンドローム」巨大技術の事故は防げないのか
第5章 スペースシャトル・チャレンジャーの悲劇 誰がシャトルを打ち上げさせたのか
第6章 ディープウォーター・ホライズン 大企業はなぜ失敗を繰り返すのか
第7章 日航機乱高下事故と機長の裁判 原因究明か、責任追及か
第8章 通勤電車の大事故は誰のせいなのか 組織の責任を問う難しさ
第9章 3・11複合災害の衝撃 レジリエンス・エンジニアリング論とは
第10章 これからの「科学技術の失敗からの学び」のために
あとがき
寿楽浩太(じゅらく こうた)
1980 年千葉県生まれ。2003 年東京大学文学部卒、2008 年東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得満期退学。博士(
専門は、科学技術社会学、エネルギー技術社会論。
題、リアルタイム被害予測システムの防災活用問題など、
共編著にReflections on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident: TowardSocial-Scientific Literacy andEngineering Resilience(Springer)、共著に『原発 決めるのは誰か』(岩波ブックレット)など。